いまいひと物語
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飛躍編11昭和60年~平成10年・92「ただ社会から利益を受けるだけの企業ではだめだ。社会と一緒に生きていく企業でないとな」平成7年、膨大な所蔵品を開放して、今井美術館、開設。平成7年(1995年)、亡くなった今井久祥社長の遺志を受けて「今井美術館」が誕生した。つねに、地域のために、人々と一緒に生きていく企業を口にしていた久祥社長の心は、美と感動の館となって結実した。旗今頭井と久主主客長主語〈うはち企広予セナの経団連(社団法人経済団体連合会)が平成2年(1990年)に打ち出した「これからの経済社会を語るキーワード」は、「市場」「人間」「地球」だった。これは、企業の社会との調和や生活者との調和を表し、企業が行う経済活動は社会との共生なくしては語れないとしたものだ。モノからココロへ、利潤追求からすべての人々の満足の追求へという時代の流れであり、この延長緯上に、企業の社会貢献活動が考えられていた久祥社長は、つねづね語っていた。「ただ社会から利益を受けるだけの企業であってはいけない。社会と、あるいは地域の皆さんと一緒に生きていく企業を目指すべきだ」と。そして語っていただけではなく、そうした企業メセナの旗頭たらんとして実践したのが今井美術館であった。「建物から美しい」と言われて誕生した今井美術館。久祥社長が、病気で亡くなる直前まで情熱を傾けたのが、今井美術館の設計だった。病床で見舞い客にうれしそうに設計図を見せていたという。そして、「前向きにものを考えるのはいいことだな」というのが、その設計図に添えた言葉。それは、事業を通じて地域社会へ貢献するとい今井美術館内部。ひろぴろとした空間と落ち着いた雰囲気が来館者に好評だ。

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