いまいひと物語
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工場内でのスナップ。最前列右が圧之助会長。めったに見せなかったが、それは優しかった会長の笑顔。会長の笑顔を一度も見たことがなかった、という人がいます。それくらい生真面目に生きてこられた人だったということでしょう。仕事に厳しく、私もよく叱られた。(笑い)ものを発注しようとする。これがなぜ必要か厳しく質問される。買うと、値切り方が足りないと叱られる。(笑い)しかし、それだけではなかったな。難航した工事が終わったときは、よくやったなという言葉を必ずかけてもらいました。そのときの笑顔は、素敵だった。それはそれはやさしいお顔で。巨人びいきで、野球の話もよくされたが、そんなときも童心というんですか、人なつっこい笑顔。真面目さとやさしさの同居です。それが社員をはじめ多くの人を引き付けたんだと思いますね。「私に、君の命を預けんか」入社一年ちょっとの頃でしたか、仕事が厳しくまだ若かった私は自信を喪失して、とうとう辞表を書いたのです。そしたら会長に呼び出されたのです。「君に、仕事に対して自信を持てとか、そんな期待は今全然していない:・」これはどういう意昧なのか最初はわかりませんでした。そして続けて「まだ経験の浅い仕事を、こうして受注するのは、とにかく、君にとっても私にとっても勉強だと思っているからだ。仕事に自信が持てないのは、君ばかりではないよ」さらに続け厳しい分だけやさしい人だった会長。ひたむきに社員思いだ、った会長夫人…。て「どうだ、私に、君の命を預けんか:・」と。そしてその時、よしやってみよう。もう一度、挑戦してみようと、泉のごとく勇気が湧いてきたのは、その時、だったのです。会長に対する思い出が尽きないのと同様、会長夫人に対する思い出も少なくありません。入社当時のことですが、外の仕事から帰ってくると、札の上におにぎりが並べて置いてある。それも大きい。一つ食べると、もうお腹がいっぱいになるくらいのもの。中身は梅干しとかたくわんとかいう素朴なものですが、仕事で疲れている身にはおいしいのなんのって。会長夫人が自らつくってくださったものなんですね。暖かくて、おいしかった記憶は、いまも鮮明に残っています。夫人は前かけ姿。やわらかくて庶民的で、社員との聞に線を引く人ではなかったな。最近、幻世紀へ何を持っていくかということが世間で言われます。私としては今井産業の伝統となっているこの暖かい社風を、ぜひ残してほしいですね。社長II会部副い式本山口株工4q業施・1産役腿咽井締訓今取バμ39・試練編11938年~1957年

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